衝撃


    参議院法務委員会での金田勝年法務大臣(左)と安倍晋三首相(右)(写真:日刊現代/アフロ)
    Business Journal

    「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設した改正組織犯罪処罰法が7月11日に施行された。同法が成立した6月15日から1カ月に満たないスピード施行だが、反対派が危惧する「監視社会」がスタートすることになるのか。

     そもそも、法案審議で安倍晋三政権は「中間報告」という“飛び道具”を使い、委員会審議を打ち切って成立させた。だが、これには世論も強く反発。たとえば、フジテレビ系のFNNが6月19日に発表した世論調査では、内閣支持率は8.5%下落して47.6%となり、1年ぶりに5割を切った。

     同社の世論調査では「中間報告で採決に踏み切ったこと」の是非を問う項目もあり、「妥当だとは思わない」の回答は64.8%。「妥当だと思う」の26.4%を大きく上回った。

     一方で、テロ等準備罪そのものの賛否を問うと、賛成49.6%に対し、反対は41.9%。10人のうち5人が賛成、4人が反対というわけだ。国論はいまだに二分していると考えていいだろう。

     それにしても、捜査の現場はこの状況をどう受け止めているのだろうか。テロリストの一網打尽に燃えているのか、新たな業務が増加したことを嘆いているのか、どちらだろうか。

     そこで、警察官僚OBに話を聞いた。現職でないとはいえ、公安警察の現場を熟知するベテランであることは間違いない。

     インタビューのなかで、元官僚は「今回の法整備で公安警察の力は増大します。戦前の特別高等警察の悪夢を思い出しますよ」と明かすが、元捜査のプロは何を問題視し、何に警鐘を鳴らすのか。

    ●そもそも警察は「個人の権利」を無視する組織?

    ──あらためて、今回の法改正の意義と駆け込み的な成立について、どのように受け止めていますか?

    元警察官僚(以下、官) 警察の任務とは、第一に犯罪を未然に防ぐこと、第二に発生してしまった犯罪を捜査して立件すること。この2点に尽きます。となれば、警察という組織が「人を見たら泥棒と思え」的な体質となるのは、当然といえば当然なのです。

     そのため、警察は取締規定の拡大を常に求めています。強い武器=法律を使って、効率的に犯罪を取り締まりたいわけです。すると、対立するのが「公共の利益」と「個人の人権」です。警察は前者の「公共の安全と秩序の維持」を優先しますし、だからこそ実力組織として機能しているわけです。

     確かに、警察法第1条は、「この法律は、個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持するため、民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障し、且つ、能率的にその任務を遂行するに足る警察の組織を定めることを目的とする」と記しています。

     しかし、率直にいって、この部分は警察官に行われる各種教育では重視されていないのです。もっとはっきり言いましょう。警察官は「職務に際し、個人の権利と利益をどう守るか」という視点の教育は行われてはいますが、やはり表面的なものです。本当に重視するのは「個人の権利と利益は、どこまで合法的に侵害可能か」という技術であり、それを叩き込まれるのです。

    ──警察がこのような法律を手にすることに対して、漠然とした不安を感じている人は少なくありません。そこで、「個人の権利」を無視する組織と聞けば、さらに恐怖を感じるのは間違いありません。

    官 当然ですが、今回施行されたテロ等準備罪は取締規定の拡大に寄与します。おまけに、準備段階で取り締まることが可能なのですから、非常に強い武器だといえます。

     強力な武器を手にすれば、使って力を誇示したくなる。これは、個人も組織も変わりありません。この法律を根拠とした公安警察の調査活動が活発化することは、確実だと思われます。

     では、国会における議論を現場の警察官僚や警察官はどのように受け止めていたのか。「反対勢力に対しては、何をどう説明しても絶対に理解は得られないし、納得するはずがない」というのが本音でしょう。

     価値観の違いは埋めようがない。議論を尽くしても意味がないと感じている。さらに、審議が長くなるほど金田勝年法務相の答弁が迷走するのは間違いないですから、強行採決のほうがリスクは少ないと判断したのです。

    ●街頭の署名活動、安易に参加で公安の監視下に?

    ──その国会議論では、「我々一般人も狙われるかどうか」が議論されました。有権者にとっては不満の残る議論でしたが、現場を知る方からご覧になって、今回の法改正で、私たちは本当に「何も気を付けなくていい」のでしょうか?

    官 国会で議論は尽くされませんでしたし、今も批判が多い法改正ですから、さすがに、今すぐテロ等準備罪を適用するようなことはないでしょう。

     しかし、警察官の現場では、どんな法律であれ新しい法律の初適用は捜査した都道府県警の部署にとって、何よりの名誉となります。常に“ネタ”を探すであろうことは想像に難くありません。

     では、現場で何が起きるのか。公安警察とは、警視庁を例にすると、共産党や新興宗教団体を担当する「公安総務課」、極左暴力集団の「公安一課」、革マル・大衆運動の「公安二課」、右翼の「公安三課」、ロシア・戦略物資の「外事一課」、中国・北朝鮮の「外事二課」、国際テロ・イスラム団体の「外事三課」といった部署から成り立っています。

     まず、各課はそれぞれが対象とする団体・組織の監視を強化し、関連団体やシンパなどの実態把握を徹底するところから始めるでしょう。

     今回の法改正は、組織犯罪が眼目です。「組織である」と結論付けるためには、その団体・組織の構成員と、賛同者など関連者の動向をしっかり把握しておかなければなりません。そのためには、まず盗聴や盗撮を容易に行えるような仕組みを考えるのではないかと思います。

     そうした公安警察に対して、一般市民の方々は何に気を付けるべきか。それは、上述した団体・組織の構成員、賛同員として把握されないようにするということです。

     もっとも現実性の高いシナリオは、街頭での署名活動でしょう。安易に署名したところ、その署名活動を公安警察が監視対象とする団体が行っていたというケースは決して珍しくありません。最悪の場合、署名しただけで団体の構成員やシンパに認定されてしまうことが懸念されます。

    ●捜査当局が犯罪をでっち上げ、冤罪発生の危険も

    ──テロ等準備罪が施行されたり国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結したりすると、本当に東京オリンピックのテロ対策になるのですか?

    官 現在の国際テロはイスラム過激主義者による自爆テロが主流ですが、それらがどのように実行されているかを考えてみましょう。

     日本を舞台に考えれば、IS(イスラム国)の戦闘員が日本に潜入し、海外の資金で自爆テロを敢行するシナリオも、理論上は考えられます。しかしながら、実際のところ可能性は非常に低いでしょう。

     より現実性が高いのは、過激主義者がインターネットなどを利用してターゲットにした日本人を洗脳。その日本人がテロを実行するというシナリオです。これを、専門的には「ホームグロウンテロ」と呼びます。

     TOC条約は国際的な犯罪組織の連携を絶ち、国際社会が一致して封じ込めるというのが目的です。ところが、「ホームグロウンテロ」は資金などを海外から支援するわけではないので、対象外となります。

     さらに、組織に属さない単独テロ犯を「ローンウルフ」と呼びますが、このタイプはテロ等準備罪の適用対象外となります。

     最新のニュースを思い出していただきたいのですが、今のテロリストは乗用車やトラックなどの車両を群衆に突っ込んで死傷させるなど、これまでの常識では考えられない犯行手段を編み出しています。

     乗用車など、日常生活で普通に活用されているものを武器として悪用した場合、それを捜査機関が防ぐのは無理と言わざるを得ません。だからこそ、フランスやイギリスでテロが起きてしまったのです。

     つまり、単独のテロリストが“犯行の下見”のためにレンタカー店を訪れたとしても、テロ等準備罪で逮捕することは不可能なのです。

    ──今後、捜査当局が法律を乱用するとして、どのようなケースが考えられますか?

    官 前に説明しましたが、テロ組織とする要件に基づき、監視対象の組織・団体を認定する作業を行います。このとき、テロ等準備罪を根拠法令として、GPS追跡などの執拗な尾行、個人をターゲットにした盗撮や盗聴が行われる可能性があります。

     これが常態化すると、現場の捜査員は「あそこは警察に批判的な組織だ→反体制組織だ→革命やテロを企てようとしているに違いない」といったロジックで思考し、「ストーリーありき」の情報収拾活動を行い、監視を強化します。そして、ターゲットとした組織の悪質性を立証しようとして、でっち上げなどの冤罪が起きてしまう危険性があると考えます。

    ●テロ等準備罪で共産党が追い詰められる可能性は

    ──2016年3月、政府は共産党が公安の調査対象団体であることに言及し、先日は公明党がこの件を蒸し返しました。テロ等準備罪の施行により、共産党が捜査の対象になることは考えられますか?

    官 共産党は、先に述べたように警視庁なら公安総務課が視察対象としています。その理由は、共産党がかつて「革命遂行の時期が来た」として暴力的破壊活動を敢行し、社会を混乱させたという“前科”があるからです。

     少なくとも公安警察は、「共産党は思想の拠り所として、マルクス・レーニン主義に基づく暴力革命論を堅持している」と考えています。そのため、現在は破壊活動防止法の適用を念頭に入れた視察活動を行っているわけです。テロ等準備罪が施行されたとなると、適用法令に追加し、共産党が革命蜂起した際に備えようと判断することはあり得ると思います。

     実のところ、公安警察は極左暴力集団によるテロ・ゲリラが活発であった頃は警察内での影響力も強く、予算や人員も相当数を確保していました。

     ところが、極左暴力集団も高齢化が進み、左翼運動も過去の遺物となった今、当時に比べてかなり弱体化した組織になっています。国際テロの脅威を根拠に外事三課を創設し、予算と人員を確保したものの、我が国でテロが発生していないことから、ますます存在意義が問われています。

     そういう意味で、今回のテロ等準備罪施行によって、「公安警察の起死回生のためにも、おおいに期待できる」と現場が燃えていることは想像に難くありません。しかし、ここで私が最初に申し上げたことを思い出していただきたいのです。

     公安警察に限らず、警察という組織は警察官全員に対して「個人の権利と利益は、どこまで合法的に侵害可能か」を叩き込むのです。そのため、私のようなOBでも、公安警察が権限を増大させていくほど、かつての特高警察の悪夢が蘇ります。

     私が「テロ等準備罪が“パンドラの箱”を開けてしまうのではないか」と不安を感じているのは、まぎれもない事実です。
    (構成=編集部)



    (出典 news.nicovideo.jp)


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    最近の各社世論調査の内閣支持率
    毎日新聞

     安倍内閣の支持率下落に歯止めがかからず、政府・与党に危機感が広がっている。毎日新聞の6月の全国世論調査で1年8カ月ぶりに不支持が支持を上回ったのに続き、読売新聞などの調査でも不支持と支持が逆転した。政府高官は「想定より下がった」と語り、安倍晋三首相が8月初旬に実施する内閣改造・自民党役員人事の政権浮揚効果を疑問視する声も出始めた。

     報道各社の世論調査で、内閣支持率は東京都議選を前に急落し、自民党は23議席の歴史的惨敗を喫した。今回、読売新聞では支持率が前回(6月17、18日)から13ポイント減の36%に落ち込み、不支持率は52%にはね上がった。朝日新聞は不支持率47%、支持率33%で、前回(今月1、2日)より差が広がった。NHKや日本テレビの調査でも不支持が支持を大きく上回っており、首相官邸筋は「都議選後も状況は変わっていない」という見方を示す。

     菅義偉官房長官は10日の記者会見で「一喜一憂すべきではないが、国民の声として真摯(しんし)に受け止めたい。経済再生を最優先の課題として、謙虚に、ぶれずに全力で取り組みたい」と表明。自民党の細田博之総務会長は「この傾向が今後も続くということではない。しっかりとした外交、経済政策をとれば、また高い評価をいただける」と記者団に語った。

     首相は9日、訪問先のスウェーデンで同行記者団に「人心を一新する」と述べ、8月初旬に人事を行う方針を明らかにした。政権内には「内閣改造で確実に支持率は上がる」という期待がある。ただ、人事刷新色が乏しければ「政権への飽きは出てくる」(自民党幹部)とみられ、同党関係者は「支持率の低下は、首相自身が信用できないというところまできている。イメージの問題だ」と語った。【村尾哲】



    (出典 news.nicovideo.jp)


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     民進党の蓮舫代表は11日午後の党執行役員会で、自身が日本国籍と台湾籍の「二重国籍」だった問題について、「戸籍(謄本)を示し、近々説明する」と述べた。党幹部が明らかにした。

     二重国籍問題は昨年9月の代表選の最中に浮上。蓮舫氏は、父親の出身地である台湾籍の離脱手続きを済ませたとしたが、日本国籍の選択宣言の日付が記された戸籍謄本の公開には応じておらず、党内の一部から批判が出ていた。

     民進党の11日の都議選総括に関する会議でも、出席議員から「二重国籍問題をはっきり説明すべきだ」との意見があり、選挙の敗北を受けて「執行部の刷新」を求める声も上がった。同党は25日に両院議員懇談会を開いて都議選の総括をまとめ、執行部の責任を判断する。 



    (出典 news.nicovideo.jp)


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    アマゾンプライムデー、ドライバーたちは戦々恐々…「多くてさばけない」配達ミスも
    弁護士ドットコム

    7月10日午後6時から始まった有料会員向けのビッグセール「アマゾンプライムデー」。3年目となる今年は、昨年よりも時間を延長して、11日の午後23時59分まで実施される。初日は開始直後からトップページにつながりにくくなるなど、例年以上に注目を集めている。

    今回のアマゾンプライムデーは、ネットニュースなどで大々的に報じられているが、セールの内容だけでなく、「宅配業者がパンクしないのか」といった点も注目されている。宅配量の増加に耐えられなくなったヤマトが当日配送から撤退を始め、デリバリープロバイダと呼ばれる小規模事業者の活用が増えているからだ。

    本格的な配送が始まった7月11日には、弁護士ドットコムニュース編集部にも「荷物が多くてミスが起きてしまった」などの情報が寄せられている。運送業者のドライバーたちは、12日にかけて、「かつてない程の量が到着するかもしれない」と戦々恐々としている。

    ●東京は7日連続の真夏日…「水の箱買い、運ぶのが大変」と汗をぬぐう

    プライムデーが始まった7月10日夜、アマゾンの制服を着た配達業者に話を聞くことができた。東京都港区を担当する業者の男性によると、会社からは「明日は年に一度の大安売りの日」と言われ、あらかじめ「忙しくなる」と念を押されているそうだ。

    本格的な配送が始まった翌7月11日の朝、都内北部で、アマゾンプライムナウの配送を担当する男性は、朝から荷物が大量だと、乾いた笑いを浮かべた。20数名で新宿区や豊島区などを担当しているという。

    「時間指定があるから大変ですよ。もう死んじゃいそう。水を箱買いする人が多いみたいなんですが、1度に何ケースも頼むんだからね。移動は台車を使うからよいけど、団地の5階まで階段なんてのもあるから…」

    ●商品が多すぎて、ピックアップミスも

    一部地域を対象に、注文から配達まで最短2時間で行う「アマゾン プライムナウ」でも、プライムデーにあわせて、プライムデー限定イベントを実施。しかし、遅延トラブルも発生したようだ。

    東京都内の主婦・J子さんは、7月10日の夜、「プライムナウ」が扱う日本橋三越本店のプライムデー限定の商品を注文した。ランチに食べようと、配達時間を12-14時に設定したが、到着したのは、14時ギリギリ。そして配達員から「一部、商品が入っていないようだ。不足分は後で必ずお届けしますんで」と言われた。

    しばらく待っても、アプリは「商品準備中」のまま。予定より遅れて1時間後、アマゾン側からお詫びの電話が入り、持ち出しの際の「エラー」があったためだと説明された。その後、300円のクーポン券がアカウントに送られてきたそうだ。

    そして、15時30分過ぎに、配達員が到着。「(三越での)ピックアップを間違えました。ごめんなさい。いつもは荷物が少ないんですが、今日はどっさりとあって。プライムデーだからかもなんですけど、本当に量がすごくて。ごめんなさい」とひたすら謝っていたという。

    J子さんは「舞台裏の大変さが配達員の方の表情からわかり、なんだか申し訳なく感じました」と話していた。

    ●既にパンク気味の「デリバリープロバイダ」は荷物量をさばけるのか?

    アマゾンの配送は、現在、当日配送から撤退を始めたヤマト運輸と、「デリバリープロバイダ」と呼ばれる小規模業者などが担っている。神奈川エリアで働くヤマトのセールスドライバー男性Aさんは、次のように最近の動向を語る。

    「これまではアマゾンだけで、1人当たり午後便で20~30個、夕方便で10個ほど入ってきていました。当日便が減ったので、午後からのアマゾンが少なくなり、夜の配達が大きく減りました」

    減った分は別の業者に回っているとみられるが、プライムデー以前から、遅配を訴える声がネット上で多く見られるようになっていた。

    アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は7月10日、プライムデーの開幕を前にした記者会見で、この問題に言及。件数こそ明かさなかったものの、遅配の発生を認めた。そのうえで、「問題は解消した」「プライムデーに向けて準備をしてきた」と強調した。

    この点について、ヤマトやアマゾンの倉庫に潜入取材したことがある、ジャーナリストの横田増生氏は次のように疑問を呈している。

    「宅配は上位5社で99%以上のシェアがあり、デリバリープロバイダは、実力も経験も不足しています。アマゾンはサーバー事業をやっているのに、そのトップページにつながらない。アクセス過多だとしたら、プライムデーで相当な数が買われているはず。既に遅配など、無理が出てきているのに、デリバリープロバイダだけでは対応できないでしょう」

    結局、メインになるのはヤマト運輸とみられるが、ヤマト自身もお中元の配達と重なり、かなりの負担を強いられそうだ。

    都内の気温は30度を超え、7月11日で7日連続の真夏日。炎天下の中、宅配業者は働いている。プライムデーによる配送のピークは明日12日まで続く見込みで、明日以降、さらなる混乱が生じる可能性もある。

    (弁護士ドットコムニュース)



    (出典 news.nicovideo.jp)


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    キャリコネ

    民進党新人がブログで「すべての成人に月8万円の現金を配布するベーシックインカム」と提案し、ネット上で話題になっている。提案したのは、松尾勉氏(32)だ。

    松尾氏は東京大学を卒業し、2007年に環境省に入省。2014年に退職して細野豪志氏の秘書となり、現在は民進党の公認内定候補者として、次期衆議院選での当選を目指して活動している。

    消費税を20%にして財源確保、配偶者控除や最低賃金は廃止

    ベーシックインカム(以下BI)とは、就労の有無や資産の多寡を問わず、全ての個人に一定額の生活費を給付する制度だ。年金や失業保険などは、年齢や就労期間などで給付制限がかかっているが、BIは無条件に与えられる。

    全ての人に最低限の生活費を給付することで、どんな人でも最低限度の生活が保証されるなど、貧困解消に向けてメリットがあると言われる。一方で、制度を導入した場合の財源確保や、人々の勤労意欲の低下への懸念など、デメリットも指摘されてきた。

    松尾氏は7月4日のブログでBI導入を提言。月8万円とした理由を

    「年金(基礎年金が月約6万5千円)や生活保護を念頭におきつつ、税による追加負担軽減も加味した結果、現時点ではこの額となりました」

    と述べ、決して根拠のない数字でないことを強調した。公務員給与の削減、生活保護制度や基礎年金の廃止といった行政の改革と、消費税、法人税の変更で財源を確保すると提案している。消費税は、現行の8%から20%に引き上げ、そのすべての税収入をBIに充てる。法人税は、新たにBI税を設立し、配偶者控除や最低賃金の廃止なども訴えていた。

    ブログの文章がヤフーニュース、ハフィントンポストなどに転載されると、ネットでは様々な反応が巻き起こった。「インフレになる」「財源はどうするの?」といった声や

    「ベーシックインカム税とか消費税とかでごっそり持っていかれそう」

    など、多くは懐疑的だが、

    「ベーシックインカム制が導入されたら良い。過度なストレスが原因の自殺や凶悪犯罪が減るし最低限の生活の心配が無くなれば、研究者や芸術家はもっと能力を磨くと思う」

    という肯定的な意見も少数ながら聞かれていた。

    過去にはホリエモンも提言「政府からお金もらって好きなことやってればいいじゃん」

    BIは、ヨーロッパを中心に導入の議論が行われてきた。スイスでは、2016年にBI導入の機運が高まったが、国民の反対多数で実現には至らなかった。多くの人が気にかけたのが、財源の確保や労働意欲の低下に伴う働き手の減少などだった。

    一方、フィンランドは今年1月1日から2年間、2000人の失業者に毎月560ユーロ配布する試みを始めた。BIの本格的な導入に向け、指摘されている「勤労意欲の低下」などが本当に起きるか、実験的な意味合いもあるという。

    日本では、松尾氏のほかにも導入を訴える人は多い。堀江貴文氏は2009年に自身のブログでBIについて言及し、

    「多くの人は労働信仰に支配されて嫌々働いているんじゃないかと。だったら、政府から金もらって好きなことやってればいいじゃん。私みたいなワーカホリックは放っておいても働くよ。むしろ雇用を創出したりとややこしいことを考えなくて済む分、便利なものとか新しい事業とかを立ち上げる事に集中できて生産性があがるんじゃないかな」

    と、メリットを語っていた。日本で実現するには国民の合意が不可欠だ。まずは世界各国での議論の様子や実験の結果を、注意深く見守る必要性があるだろう。



    (出典 news.nicovideo.jp)


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